統計物理MLのみなさま
京都大学理学研究科の佐々です。
10月24日(月) 13:30より
京都大学理学研究科 5号館 401にて
有賀隆行さん(九大)のセミナーを行います。
興味ある方は自由にどうぞ。
講演題目:生体分子モーターキネシンの非平衡散逸計測
講演者: 有賀隆行 (九州大学)
講演概要:
生体内では、様々な分子機械が化学反応をエネルギー源として
力学的仕事を行っている。その一つであるキネシンは、細胞内
で小胞体などの荷物を運ぶ生体分子モーターとして働いている。
1分子のキネシンは、1つのATP加水分解につき8 nmずつのステッ
プで、微小管というレールの上を文字通り歩きながら、最大約
7 pNの力を出すことが可能である。近年の1分子観察・操作技術
の発展により、その詳細な分子機構は明らかになりつつある。
しかし、1分子のキネシンを一つの非平衡散逸系と見立てた際の
エネルギーの入出力については、単一分子の非平衡系を記述する
難しさから、定量的な理解が進んでいなかった。
分子モーターのような小さい系でのエネルギー論を記述する一
つの指標として、原田・佐々らによって新しい非平衡等式が提唱
された[1]。この式によると、速度のゆらぎと応答関数を計測す
ることにより、系からの非平衡散逸流を定量することが可能とな
る。そこで我々は、光ピンセットを用いた1分子計測手法を用い
て、キネシンが荷物となるプローブ粒子を運ぶ際に散逸される非
平衡散逸流を定量した。また、2状態マルコフ遷移モデルとラン
ジュバンダイナミクスを組み合わせたモデルシミュレーションと
その解析解を通じて、実験結果の検証も行った。回転する分子
モーターF1-ATPaseを用いた先行研究の結果[2]と比較しつつ、
キネシンの非平衡散逸流とエネルギー論を議論する。
[1] T. Harada and S. Sasa, Phys. Rev. Lett. 95, 130602 (2005).
[2] S. Toyabe et al., Phys. Rev. Lett. 104, 198103 (2010).
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Shin-ichi Sasa <sasa@scphys.kyoto-u.ac.jp>