メーリングリストメンバーの皆様
東京大学大学院理学系研究科附属遺伝子実験施設の藤井雅史と申します。
下記セミナーを開催致しますので、皆様奮って御参加下さい。
お近くにご興味のありそうな方がおられましたら、転送して頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
※ 複数のメーリングリスト宛に送信しております。重複して受け取られた場合は御容赦下さい。
※ 今後のセミナー情報:http://kurodalab.bs.s.u-tokyo.ac.jp/ja/seminars
藤井
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日時:1月18日(木)17:00-18:30
場所:理学部 3号館 310号室
演者:廣中 謙一 博士 (ひろなか けんいち)
(演者所属)大阪大学理学研究科生物科学専攻
演題:完全変態昆虫における臨界サイズの適応的意義
要旨:
本セミナーでは最適制御理論を用いて個体発生を理解する取り組みについて紹介する。
完全変態昆虫の幼虫は、ある臨界サイズを通過すると、変態する(蛹になる)ことが不可逆的
に決定される。臨界サイズに到達した幼虫は、餌の有無にかかわらず一定時間後にステロイドホ
ルモンを分泌し、変態を開始する。臨界サイズとステロイドホルモン分泌の間を繋ぐ遺伝的理解
が進む一方で、そもそも「なぜ昆虫が臨界サイズを持つのか」という適応的意義については明ら
かではない。我々はこの疑問に答えるべく、幼虫組織と成虫組織へのエネルギー配分最適化とい
う観点に立ち、理論と実験の両面から研究を進めている。
まず、臨界サイズを先験的に考慮せず、幼虫・蛹・成虫という三段階の生活史を持つときの最
適エネルギー配分を最適制御理論によって求めた。その結果、幼虫期のある時点から成虫組織の
成長率を加速させることが最適な成長戦略であることがわかった。これは実験的に観察される成
虫組織の成長パターンと良く一致する。よって、臨界サイズは単に変態のためのチェックポイン
トであるだけでなく、最適なエネルギー配分切替のためのマイルストーンとして機能していると
予想される。
この理論を実験的に検証するため、ショウジョウバエ属昆虫9種を用いて、臨界サイズの到達
タイミングと理論的に予測される最適タイミングを比較した。興味深いことに、種間で成虫サイ
ズが三倍以上変動するにもかかわらず、いずれの種においても臨界サイズの到達タイミングは最
適に近い値を採っていることがわかった。以上の結果から、完全変態昆虫は臨界サイズにおける
エネルギー配分切替によって最適な成長スケジュールを実現していると考えられる。
現在、個体発育の進行に伴って代謝応答が変化する現象を理解するべく、確率動的計画法を用
いたモデリングに取り組んでいる。最適制御理論は従来より進化生態学で用いられてきた手法で
あるが、発生学や生理学においても、生命現象の設計原理を理解するために有効な手法であると
考えられる。
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藤井 雅史
〒113-0033
東京都文京区本郷7-3-1
理学部3号館 4F 411号室
東京大学大学院 理学系研究科
附属遺伝子実験施設
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